哲学とアートのための12の対話 2025

土曜の放課後 2
After School on Saturday

  哲学者たちとの対話

第10回 ハイデガーと生成AI

日時:2025年12月13日(土曜日)
   午後2時〜4時
会場:京都市立芸術大学 C棟3階「講義室7」
参加者:32名

 マルチン・ハイデガーの哲学は、21世紀を生きる私たちに向かって根源的な問いを突きつけます。それは「存在」の問いです。何かが「存在」する、つまり「ある」とは、そもそも何を意味するのか? ハイデガーはこの問いを、古代ギリシア哲学、とりわけアリストテレスから汲み出してきます。「ある」とは何か? なんて抽象的に響くかもしれませんが、それは私たち自身がなぜ今存在しているのか、そしてやがて存在しなくなる(死ぬ)のか、という問題を徹底させた問いの形です。
 こうした「存在の問い」という立場から、ハイデガーは20世紀文明を特徴づける技術、テクノロジーについても考えます。ハイデガーの技術論は、特定の科学技術──たとえば原子力エネルギーの利用──それ自体が善か悪か、是か否か、またこう使えば危険だがこうした規制をかければ役に立つ、といった議論とは関係ありません。そうではなくて問題は、私たちがテクノロジーを通して世界を見、自然と関わるというこの振る舞いは、そもそも何をしているのか、ということです。
 ハイデガーが生きていた時代には、現在私たちが「生成AI」と呼んでいるものはありません。しかしハイデガーは、生成AIをはじめ現代のテクノロジーの基盤となっている「サイバネティクス」という考え方に強い関心を持っていました。そこで今回は、ハイデガーのサイバネティクス論から見たとき、今私たちが大騒ぎしている人工知能の問題はどのように理解できるのかを考えてみたいと思います。(吉岡 洋)



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