哲学とアートのための12の対話 2025

土曜の放課後 2
After School on Saturday

  哲学者たちとの対話

第6回 デカルトとメンタルヘルス

日時:2025年8月9日(土曜日)
   午後2時〜4時 (講座終了後に懇親会開催)
会場:Frame in VOX (河原町VOXビル 3F)
参加者:29名

 デカルトの思想と言えば「心身二元論」だと言われます。心身はそれぞれ別々な「実体」だということです。しかし、心と身体とが無関係ではなく密接に結びついていることなんて、誰だって知っているでしょう。そこからデカルトを仮想敵にして「心身二元論の克服」みたいなことを言う人がいますが、これはまったくの勘違いです。むしろ心身の関係をいかに考えるか、ということこそ、デカルト哲学の核心なのです。
 デカルトは1649年に『情念論』という本を書きました。この「情念」とは「パッション」という概念です。パッションは「情熱」と訳したりもしますが、また能動に対する「受動」という意味もあります。さらには、イエス・キリストの「受難」もパッションです。この概念が、心と身体との関係について考えるカギになります。
 一方現代の生活においては「精神の健康」を保つことが求められています。「メンタルが弱い」とか「メンタルをやられた」とか当たり前のように口にする私たちは、まるで(本当はデカルト哲学とは真逆のものである)「心身二元論」を前提に生きているかのようです。
 「メンタルヘルス」とは単に精神障害でないということではなく、自分の可能性を実現し、ストレスに対処でき、生産的に働き社会の役に立てるような状態のことである──この「ご立派」な定義は、WHO(世界保健機関)が私たちに押し付けて来るものです。今回の講座では、健康とか幸福(ウェルビーイング)」いった人生の「目標」なるものが実はまったくの「大きなお世話」にほかならないことを、デカルトを味方につけて暴き出したいと思います。(吉岡 洋)



講座資料
pdf image